いよいよ来春、本市は、復興事業の計画期間は終息のときを迎えるわけであります。このたび、国は、復興事業の二十八年度以降の自治体負担について提示したようであります。四年余り前、本市の
復興計画期間について、少々の無理は承知で五年間と決定、その後、奮闘、努力し、実を上げてきたことは、今振り返るとき、まさに正解であったと思うもので、他の自治体にも比して、当時の市当局と我が議会の決意と判断の正しさを、今し痛感するところであります。
そこで、来春を迎えるに当たり、発災直後から我がことを横に置いて被災者のため、地域住民のため、広く市民のため、また、行政に協力、救援者に協力、率先奮闘、人知れず大活躍された個人、企業、団体が数多く存在したことは、御承知のとおりであります。これらの事象に対しては、これらを綿密に検証し、当該の対象を顕彰し、しっかり記録にとどめることが肝要と心得るものでありますが、いかがでありましょうか。
後日の精算でよいからと言ってコンビニを開放した経営者の方。春の統一選挙に当たり、不在者投票を終えた後に、
中央卸売市場のトイレまでも感謝の気持ちだといって清掃して帰路についた、遠方からの救援のため本市に展開していた自衛隊の方々。ひとり住まいの高齢者の方々を何日も何日も自宅に寝起きさせ、もらい風呂に通った方。動物公園の水棲の動物のためにと黙々と水を運んだ方々。新潟県まで出かけてせっかく購入してきたガソリンを福祉施設に分けたという方。私が見聞きしたことだけでも、まさに枚挙にいとまがないのであります。
聞くところによれば、本市も既に多くの企業、団体に感謝状、表彰状を贈っているとのことでありますが、いよいよ本年度末には五年にわたる復興計画も一定の終息のときを迎えるわけであります。ぜひその締めくくりとして、これらをしっかりと情報収集し、検証し、記憶と記録にとどめ、顕彰すべきであると思うのでありますが、いかがでありましょうか。
もう一つ忘れられない出来事は、昭和六十年に始められ、平成元年四月一日に結実を見た、合併による大仙台市構想と、
政令指定都市仙台誕生であります。
私は、当時の泉、宮城、秋保、一市二町との合併による大仙台市の誕生にかかわりを持ち、その後の区割りの線引き、区名の選定、区役所の整備、区政への移行にも深くかかわった者であります。いわゆる
政令指定都市移行を現実のものとした作業や事業にかかわった一人でありますが、今やその体験や歴史を共有する議員も市職員も、全くのところ、数少なくなってまいりました。あの輝いていた時代から、既に四半世紀余りが経過したことを実感いたすものであります。
このときに当たり、
政令指定都市仙台の誕生を見たあのときの感動、感激、歓喜、そして誇りに立ち返り、改めてその来し方を振り返り、今ある仙台市政を再検証し再点検することがいかに重要であるかということを、近年の不祥事頻発を見るにつけ痛感いたすものであります。
何となれば、我々の体も、近代的な機器類も、集合体の機構や組織も、長い春秋を越えてくれば、必然的に金属疲労や経年劣化、制度疲労を起こし、そこにはあかが付着し、さびが発生し、腐敗を呼び込むものとなることは必定であると思考いたすものであります。その結果、今日の職員の意識や士気にかかわる問題、本市と区役所との関係、本市と出先との関係、不祥事の頻発の温床など、これら問題発生の病原体や発生源になっているのではないかと危惧いたすものであります。
この春以来、種々調査に当たったのでありますが、五区役所や総合支所における士気の低調ぶりは、その実態、実情において、まさに想像を超えるものを感じたのでありました。今こそ、我々議会を含め、本市全組織を挙げて、
地方公共団体のあるべき原点に立ち返り、全体の奉仕者としての基本に立ち返り、血を流すことを恐れず、再点検し、再出発する覚悟をいたさなければと痛感、肝に銘じるものであります。これがいかなる行財政改革にも先んじ断行されるべき喫緊の課題であると思うのであります。
市長、副市長が一連の不祥事発生の政治的責任をとり、みずから処分したこのときを好機と捉え、四半世紀を既に経過した
政令指定都市仙台の行政のあるべき姿を、市民本位の原点に立ち、根本的に基本的に再検証、再点検の断行を求めるものでありますが、いかがでありましょうか。何かここ数年、意気消沈し、停滞し、生ぬるく、投げやり、他人事といった組織の悪弊を、この機に一気に払拭する努力を、改選期を控えた我々議会も含め、全庁、全組織、全体制を挙げて、オール仙台市で断行していく決意を伺いたいのであります。
加えて、ことしは終戦から七十周年と、何やら一部に騒がしいものがあります。しかしながら、本来、後ろ向きではなく前向きな発想で、未来志向の国家間の関係づくり、国づくりと地方づくりが着実にスタートすることが望まれるときであります。本市にとりましても、大東亜戦争の敗戦から七十年の節目のこの年は、仙台大空襲から七十年の夏でもあります。このときに当たり、市長として何か市民へのメッセージがあればと思うのでありますが、いかがでありましょう。
以上をもちまして一般質問を終わります。(拍手)
5: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの
大泉鉄之助議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、
東日本大震災の記録と顕彰に関する御質問にお答えを申し上げます。
発災当時、極限の状況にありながら、強い自制心と譲り合いの精神で混乱を回避した東北の人々の行動が世界から称賛をもって迎えられたことは、今なお、私どもの記憶に新しいところでございます。その中でも、深い思いやりの心をもって、さまざまな場面で奮闘された方々の行動を掘り起し、記録にとどめ、その功績を広く知らしめることは、震災の経験や教訓を風化をさせず、次なる世代へ受け継いでいく上でも、大変重要であると認識をしております。
本市におきましては、これまでも、伝える
学校プロジェクトや、メディアテークの3がつ11にちをわすれないためにセンターなど、市民の皆様の手によるさまざまな活動によって、震災の記録の収集と蓄積がなされてきております。
私どもが必ずしも把握し切れなかった事績も多々あるものと存じます。今後とも、きめ細やかな事例の収集に努め、震災記録誌の発行や震災の記憶を伝える市民活動の支援、また
メモリアル施設の整備などの事業を展開していく中で、無私の精神で働かれた多くの方々への敬意と感謝の念を形にしてまいりたいと、そのように存じます。
続きまして、終戦七十周年に当たっての市民の皆様へのメッセージについてのお尋ねでございます。
七十年前の仙台空襲により、本市の中心部は焼け野が原と化し、多くの市民のとうとい命が失われました。その焦土の中にありながら、被災された市民は力強く立ち上がり、未来を見据え、今日の仙台の礎を築かれたのであります。
戦災復興事業により整備された青葉通や定禅寺通は、杜の都のシンボル、市民の憩いや交流の場として、かけがえのないこのまちの財産となっております。
先達の偉業は、
東日本大震災からの復興に懸命に取り組む我々に、単なる復旧を超えて、より災害に強く新たな魅力を持ったまちをつくり出し、次の世代に残していくことこそが、我々の責任であるととともに希望でもあることを教えております。
仙台の市民にはどんな困難の中にも知恵と力を結集し新たな未来を切り開く力があると信ずるものでございまして、今この時代は、私たちに
グローバル化を大きな波の中で要請をしております。市民の皆様とともにまずは復興をなし遂げ、その力をもってこの七十年で築かれてきた東北、日本の仙台から次なる時代の世界の
国際都市仙台へと、さらに力強い歩みをスタートさせることを訴えをしてまいりたいと、そのように存ずる次第でございます。
そのほかのお尋ねにつきましては、藤本副市長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
6: ◯副市長(藤本章)
政令指定都市たる本市行政のあるべき姿についての御質問にお答えをいたします。
本市は、平成元年に
政令指定都市となりましておおよそ四半世紀、
東日本大震災という未曽有の災害を経て、本年度は、
震災復興計画の最終年度を迎えるとともに、
地下鉄東西線の開業、それに伴う新たなまちづくり、新生仙台に向け大きな転換期を迎えているものと認識いたしております。
この間、厳しい財政状況のもと、多様化する市民や地域のニーズに的確に対応するため、いわゆる大区役所制をとりながら、税業務の本庁への集約、
市民センター業務の区役所への移管、保健所機能の一元化など、組織の見直しを実施してまいったところでございます。
今後、
人口減少社会の到来によりまして、地域社会のありよう、それ自体が大きく変化していくことが予想される中、地域政策を進めるに際しましては、より身近な区役所が中心となって発案をし実施するという市政運営が、今まで以上に重要になってくるものと考えております。
先般実施いたしました
職員意識調査結果からも、仙台市政を動かしていく上で区役所に勤務する職員の果たすべき役割の重要性を、改めて認識いたしたところでございます。
政令指定都市として二十七年目を迎えるに当たり、今ほど職員の意識改革、組織風土の見直しが強く求められている時期はないわけでございまして、本庁と区役所との関係のさらなる連携強化、区役所のさらなる前進に向けまして、私自身、区役所に出向き、さまざまな職責の職員の声を率直に伺うなど、
本市行政運営に関する現状と課題を把握いたしまして、将来に向け、職員一人一人がみずからの役割を自覚し、誇りと自信を持って、組織一丸となってこれからの仙台市政の取り組みに当たってまいるよう、そういった決意で取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
7: ◯議長(西澤啓文)次に、やしろ美香君に発言を許します。
〔二番
やしろ美香登壇〕(拍手)
8: ◯二番(やしろ美香)自由民主党・仙台、やしろ美香でございます。議長のお許しをいただきましたので、今任期四年間の締めくくりの質問をさせていただきます。
まず最初に、本市におけるICT、
情報通信技術の施策についてお伺いをいたします。
先日、
GISコミュニティフォーラムというイベントに参加してまいりました。私がしばしば提案させていただいているGISをより有効に活用しようとするさまざまな取り組みに触れることができ、大変勉強になりました。GISは、その本来の地理情報という枠を大きく超えて、社会を新たな視点で捉える手法として確立されつつあります。
ビッグデータや
オープンデータ、
マイナンバーなどと組み合わせることで、市民生活をより深く理解できるものと確信いたしました。
最初に、GISによって市政運営が変わるという認識についてお伺いいたします。
GISは、地理情報をもとに仙台市を俯瞰できるというメリットがあります。市長は虫の目で見えてくる市民生活と鳥の目で見えてくる市民生活を理解する必要があると、私は考えます。そのための、つまり市長の目としてのツールがGISです。鳥の目と虫の目、両方の景色を同時に見せてくれるGISを奥山市長はどのように捉えているのか、また、どのように活用しようとしているのか、まず、市長の認識を改めてお伺いいたします。
GISは、もとになる地理情報に人的情報、建築物情報、経済情報、動態情報などさまざまな情報を加えることで、単なる数字の羅列であったデータに命を通わせることができます。その一例として、緑に関してお伺いいたします。
現在、仙台市には四万四千五百三十一ヘクタールの森林が存在します。青葉区だけでも、西部の丘陵地帯から山形県境に至るまでの地域に、約二万ヘクタールの森林があります。この膨大な緑が、杜の都という名称を守っている最後のとりでになっていると思います。しばしば議論されているように、森林の持つ機能は、水源涵養、
土砂流出防止、
土砂崩壊防止、大気保全、保健休養、
野生鳥獣保護など、合計一千二百三十一億円分の公的機能を果たしていると言われています。このような本市の豊かな緑の保全や利活用にもGISの導入が期待されております。
例えば、国では、国有林の管理経営の効率化を図るため、森林情報を一元的に管理するGISの運用を行っております。また、宮城県においては、ことしの四月から、
ホームページに
森林情報提供システムを作成し、森林の区域や木の種類等を掲載しており、市民がいつでも見られるようなGISの活用を図っております。
また、身近な緑に関しても、柏市では、このGISを活用し、樹林地や空き地等並びに一般公開可能な個人のお庭をカシニワ、かしわの庭・地域の庭と位置づけ、緑の保全、創出、人々の交流の増進、地域の魅力アップを図っていくことを目的とする事業を行っています。
仙台市でも、地域の歴史を刻む名木、古木を保存樹林として指定し、保存しておりますが、このような事業にもGISを活用すれば、普及啓発にさらに広がりが出るのではないでしょうか、お伺いいたします。
さて、緑におけるGISの活用を一例として挙げましたが、GISは、環境の問題だけでなく、福祉や教育など市民生活にかかわる全ての事象に応用できます。GISを活用した新しいソフトウエアも続々と開発が進んでおりますが、そのような新たなICTの活用に関しては、どなたが判断しているのでしょうか。情報担当者であるCIOはいまだに設置、任命されていないようですが、
情報政策部長がその任に当たっているのでしょうか、お伺いいたします。
続いて、
Gグラフィック技術についてお伺いいたします。
地理データだけではない、本来の
Gグラフィック技術で数値データを可視化することにより深まる理解と、その活用についてお伺いします。
地理情報システムとしてのGISが主流になって、もともとの意味である
グラフィック技術について忘れられがちですが、こちらも行政を行う上で利用価値の高い技術です。日本語に訳すのが難しい
グラフィックという言葉ですが、目で見えるようになる可視化という表現が適していると思います。数字であらわされるデータは一見具体的ですが、数字は本来抽象的な概念であって、具体ではありません。それを可視化するのが
グラフィック技術です。表計算ソフトの数字をグラフにするというのが、最も典型的でわかりやすい例でしょう。数字で見ているだけではわかりにくいことも、円グラフや棒グラフになると直感的に理解できるようになります。
このように見えにくい数字データを可視化するシステムとして、
グラフィック技術があります。このような
グラフィック技術を仙台市ではどのように活用しているのでしょうか。さきに開催された
国連防災世界会議を例にお答えいただければと思います。また、その活用を推進するための専門部署はどこが担当しているのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
次に、
行政サービスにおけるICT、コンビニの活用から行政のコンビニ化へをテーマにお伺いいたします。
ICTの活用により、行政の一部業務がコンビニでもできるようになりました。いよいよ
マイナンバー制度も始まります。
コンビニエンスな時代が来ます。この
コンビニエンスという言葉は、便利や都合がよいと訳されがちですが、もとになったラテン語の
コンビニエンスの本来の意味は、ぴったりくるという意味です。仙台弁で言ういずいの反対の意味ですので、行政のコンビニ化を言いかえれば、市民にいずい思いをさせないということです。
住民票や印鑑証明などまだまだ一部の書類にすぎませんが、私は高く評価します。なぜなら、一と二の間には一の差しかありませんが、ゼロと一の間には無限のゼロが存在するからです。千里の道も一歩から始まります。仙台の行政も一歩を踏み出しました。そこで伺います。二歩目はどう踏み出すのでしょうか。コンビニでの
公的書類発行はどこまでを可能と考え、計画しているのでしょうか。進捗状況も含めてお答えください。
コンビニエンスストア等の活用と同時に、役所自体の二十四時間三百六十五日化も今後の課題だと私は考えています。こちらも各自治体がほぼ共通して、出生、婚姻、離婚、死亡届など戸籍関係の受け付けができるようになっていますが、書類を預かるだけで、実際の処理は月曜日に行われることになっているようです。このやり方では受け付けられる業務が限定されてしまいます。今後も土日は休みという手法に変化はないのでしょうか。図書館や博物館等、
市民利用施設は土日にオープンしているわけですから、まだまだ工夫の余地はあると私は考えていますが、いかがでしょうか、伺います。
以上、
行政サービスにおけるICTの活用について伺いましたが、ネット環境が整備されつつある現在、
行政サービスがより市民にフィットする、すなわちいずいを感じさせない方向に向かうことは可能だと思います。
マイナンバー制度導入を好機と捉え、積極的な推進を期待しますが、市長の御所見を伺います。
次に、教育におけるICTについて伺います。
佐賀県の
パソコン授業の実態がネットで公開され、さまざまな批判が起きているようです。佐賀県の事例の一番の問題点は、ICTが教育を変えるという意味を理解できていないことだと思います。最近文部科学省が
ホームページに公開したICT関係の資料が余りにお粗末で、ネット上で失笑を買い、削除されるということがありました。中央の文部科学省でさえ正しく理解できていないわけですから、その指導を受けている各自治体の教育委員会や学校、教職員に誤解を生じさせているのも当然と言えるでしょう。
ICT教育とは、新しい言語としての語学であり、新しい科学の手法として、また、新しい社会への入り口として理解することだと考えています。今までの質問でも指摘したように、新しい消費者教育なども含まれるでしょう。現代において社会基盤としてのICTが存在する限り、子供も大人も無関係ではいられません。
これは初期の
PC導入段階でも問題にされたことでありますが、教育のICT化とは、
パソコン教室をつくることでもなければ、パソコンを使って同時に授業をすることでもないということが、意外に理解されていません。パソコンを使うことで一人一人に合った授業ができる、つまり個別の授業が可能になることが、本来のポイントになります。ICTの特徴であるカスタマイズです。
もう一つの特徴は、調べる道具としてのICTです。これは、パソコンに限らず、携帯電話でも
スマートフォンでも同様です。ネットにつながる環境が整っていれば、その先には無限に近い知識があります。ICTのもう一つの意味、知の共有です。これらのICTの持つ特徴が理解できていないために、
パソコン教室という特別な場所をつくることになってしまいます。
個別化や知の共有で学校教育は成立するのか、答えはICTの三つ目の特徴、インタラクティブにあります。インターな関係性が生み出す教育環境は、古代ギリシャの哲学者や論語の孔子、仏教のお釈迦様も用いた対話法に近いものです。
以上を踏まえた上で、現在の仙台市が行っているICT教育、すなわち
パソコン教室的手法を見直す必要があると考えています。私からは、子供たちが自由に使える環境と
タブレット端末によるハードウエアの強化と
デジタルコンテンツの活用を提案させていただきますが、市長の御見解を伺います。
最後に、主権者教育についてお伺いいたします。
選挙権が得られる年齢を十八歳に引き下げる
改正公職選挙法が、十七日の参議院本会議において全会一致で可決、成立しました。選挙権年齢の引き下げは七十年ぶりで、来年夏の参議院選挙から適用される見通しです。この法改正により、来年の参議院選挙からは、高校三年生の一部を含む十八歳、十九歳のおよそ二百四十万人が新たに有権者に加わることになりますが、新有権者に対して、法律が変わったから投票に行けと言うだけでは、投票行動に結びつくものではないと思います。
このたびの法改正に当たっては、いわゆる未成年者の
政治的判断力についてさまざまな議論が交わされ、
下村文科大臣は、高校生の選挙への関心を引き出す指導の充実が課題だと述べ、選挙制度を学ぶ副教材をことしの夏に全ての高校生に配付することとしました。学校教育の場においては政治的中立が保たれるべきであり、その内容が問われるものですが、この投票行動を通して政治に参画する主権者を育てる教育は、高校という参政権を得る直前に行うだけで十分なのでしょうか。
小中学校の義務教育について、
文部科学大臣から諮問を受けた
中央教育審議会では、その目的として、国家、社会の形成者として共通に求められる最低限の基盤的な資質の育成を挙げており、義務教育においても、将来を担う子供たちに社会の一員であり主権者であるという自覚を持たせることが求められています。
日本の公民教育は、政治や法律などの仕組みを学ぶことに重点が置かれておりますが、社会の構成員として市民が備えるべき市民性を育成するためには、集団への所属意識、権利の享受や責任、義務の履行、公的な事柄への関心や関与などを開発し、社会参加に必要な知識、技術、価値観を取得させる主権者教育が重要です。義務教育の場でももっと積極的に取り組むべきと考えますが、御見解を伺います。
高齢化が進み、かつ、若者よりも高齢者の投票率が高い日本では、高齢者の声は政治に反映されやすいと言われていますが、少子化対策や財政再建を含む将来を見据えたまちづくりには若者の意見も必要です。今回の法改正による新有権者の投票行動に期待される一方、年齢の引き下げだけでは選挙に行く若者はふえないと指摘する学者もいます。これまでも投票参加の促進に向けて啓発活動が行われてきましたが、投票率の向上にはなかなか結びつかないようです。
一説によれば、選挙に関心があるという学生は親が選挙に行ったり家庭で政治の話をしていたという傾向があることですので、親が政治に興味を持っているかどうかが鍵になると思います。この法改正を機に、新有権者だけでなく、二十代、三十代の若い世代に向けても、民主主義における選挙の意義や仕組みへの理解が深まる主権者教育を社会教育として進めていくべきではないでしょうか。御見解を伺い、私の最後の締めくくりの質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
9: ◯市長(奥山恵美子)ただいまのやしろ美香議員の御質問にお答えを申し上げます。
マイナンバー制度を契機としたICTの推進についてお答えを申し上げます。
ICTは、時間や物理的な距離の壁を取り払い、大量の情報を効率的に処理し、多くの人々に一斉に情報を伝達、拡散できるという顕著な特性があり、その活用により、市民と行政の距離を縮めることに役立つものであると認識をいたしております。
一方、目まぐるしいスピードで変化を続ける昨今のICTに対応していくためには、市民生活全般に及ぶニーズやリスクを的確に把握し、それらに対し、行政として明確なビジョンと責任を持つことが不可欠であり、本市では、個人情報の保護にも十分に留意をしながら、仙台市ICT戦略に基づき、これまでICTの活用を図ってまいりました。
今般導入されます
マイナンバー制度は、市民の皆様の利便性の向上を目的とする制度でございまして、これによりICTを利活用できる場面がさらに広がるものと考えております。
マイナンバー制度を初め、
ビッグデータ、
オープンデータなど、新しいICTの潮流を捉え、
行政サービスを一段とステップアップさせるべく、今後とも、市民の皆様の快適で豊かな暮らしの実現に向けて、ICT利活用を推進してまいりたいと存じます。
そのほかのお尋ねにつきましては、関係の局長並びに選挙管理委員会の事務局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
10: ◯まちづくり政策局長(大槻文博)私からは、まず、GISの利活用についてお答えいたします。
GISは地図上にさまざまなデータを取り込み多角的な分析を可能とするものであり、本市にとりましても大変利用可能性に富んだツールであると考えております。現在、約五千八百台の庁内LAN端末で職員がGISを利用できる環境と捉えており、例えば指定避難所については、位置情報に加え避難場所の面積や収用可能人数等の属性情報を地図上で管理しておりますが、今後、統計情報を初めとするさまざまなデータと組み合わせて分析を行い、それを効果的に可視化させるなど、より高度なGISの利活用を進めていくことは、トップから実務者に至るまで組織の各階層に応じた判断を行う上でも有益であろうと考えております。
情報政策部においてGISに関する技術の動向を常に把握しつつ、職員のスキル向上に向けて、統計情報を処理して政策判断に活用するための研修プログラムを実施するなど、GISの利活用推進に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、ICT活用に関する判断についてお答えします。
本市におきましては、情報化の進展に対応し、地域、行政の情報化の推進を図るための情報戦略に関しましては、二役の総意をもってその判断を行っているところでございます。
情報化の推進に当たりましては、二役及び各局長から成る仙台市情報化推進本部を設置し、仙台市ICT戦略に基づき、その利活用に取り組むこととしており、特に新たな技術やシステムの導入などにつきましては、情報政策部において各部局の取り組みを支援しているところでございます。
最高情報統括責任者であるCIOの設置の必要性については、引き続き検討をしてまいります。
次に、
グラフィック技術の活用についてお答えいたします。
国連防災世界会議におきましては、球形のディスプレイに地球の姿を映し出し、自由に拡大したり回転させたりすることができる「触れる地球」という展示や、来場者が
タブレット端末を操作し、
東日本大震災の被害状況等を視覚的にわかりやすく視聴できる展示などが行われました。このような
グラフィック技術を活用した表現や手法は、市民の皆様に対する情報発信において大変効果があると認識しております。
現在、各種広報や事業説明会等において、必要に応じてプレゼンテーションソフトや動画を活用するなど表現方法に工夫している状況でございますが、より直感的、体感的にわかりやすい表現となるよう、情報政策部において、新しい
グラフィック技術の紹介やソフトウエア導入の相談など技術面でのサポートを行ってまいりたいと、このように考えております。
以上です。
11: ◯市民局長(寺田清伸)私からは、市民局に関する二点の御質問にお答えをいたします。
まず、コンビニでの
公的書類発行についてでございます。
平成二十八年一月より本市で導入予定のコンビニ交付サービスでは、発行できる証明書の種類があらかじめ決まってございますので、導入自治体において交付対象を選択する仕組みとなっております。本市では、このうち住民票の写しと戸籍証明書、戸籍の附票の写し、印鑑登録証明書、そして市・県民税課税(非課税)証明書を交付対象としているところでございます。
今回、住民票の記載事項証明書と納税証明書、資産証明書につきましては、発行形態や件数、第三者請求の割合などから交付対象外といたしましたが、これらはサービス開始後の状況等も確認しながら、今後の取り扱いを検討してまいります。
次に、受け付け時間の拡大についてでございます。
本市におきましては、土日などに受け付けが可能なものといたしましては、各区役所での戸籍の届け出のほか、住民票の写しなどの証明書発行を、仙台駅前サービスセンターと自動交付機で行っている状況となってございます。
住所の異動届につきましては、特に三月と四月の引っ越しシーズンには土日の受け付けに関する御要望もいただいているところでございますが、これらの繁忙期間には平日の時間延長により対応しているところでございます。
土日の開庁には、住民情報システムなどを稼働するための体制整備や、関連業務との整理などの課題も多くございますが、窓口サービス向上の点から、引き続き検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。
12: ◯建設局長(高橋新悦)私からは、緑におけるGISの活用に関する御質問にお答えいたします。
保存樹木につきましては、これまで杜の都の名木・古木の刊行物を出版し、紹介してまいりましたが、より広く情報を発信するため、市の
ホームページへの掲載について検討を始めたところでございます。掲載に当たりましては、保存樹木の所有者の意向を確認して進める必要がありますが、市民の皆様によりわかりやすい情報を提供できるよう、GISの活用についても検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
13: ◯教育長(大越裕光)教育に関する二点の御質問にお答えいたします。
まず、ICT教育についてでございます。
現在、本市におきましては、児童生徒用コンピューターはコンピューター室に整備し、インターネットを介した子供たちの調べ学習などに活用しておるところでございます。
子供たちがより主体的に学習を深めていくためには、普通教室などでも日常的にコンピューターが使えるように、
タブレット端末や無線LAN環境、さらには
デジタルコンテンツの有効活用などが必要であると認識しているところでございます。そのようなことから、今年度、市内大学との共同研究事業として、設置場所を限定しない
タブレット端末を活用した授業や学習環境の研究を実施し、学校教育における望ましいICT環境整備のあり方についての検討を進めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
21: ◯教育長(大越裕光)教育振興基本計画と教育大綱の関係性についての御質問でございます。
大綱は、地方教育行政法の規定に基づき、
地方公共団体の教育の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を定めるものでございます。一方、教育振興基本計画は、教育基本法の規定に基づいて策定する、教育の振興のための施策に関する基本的な計画であり、両者は密接に関連するものでございます。
今後、総合教育会議において協議を深め、市長が大綱を策定することになりますが、教育委員会といたしましては、大綱の趣旨を十分尊重しながら、平成二十九年度からの次期教育振興基本計画に反映させてまいりたいと存じます。
以上でございます。
22: ◯二十六番(安孫子雅浩)第一問のお答えをいただきましたけれども、それに加えて、それぞれ項目ごとに一問一答でお尋ねをしてまいりますが、まず、一項目めの高齢者施策のあり方についての点でありますけれども、今、局長のほうでは、それなりに調査をして、必要とあらば国への要望を行うと。また、その事業以降についても、事業者に対して、五百ほどのアンケート調査を行ってですね、その上でそれなりの対応をしていくということでありますが、私がまず申し上げたいのは、年度末までに十分に想定をされたんですよね。年度末に想定をされて、その制度改正以降どのような状況が展開されるかということはさんざん想定をされた上で、各種、予算委員会においても質問しましたし、そして、それがまた四月から具体的に現実となったと。それで、わずか二カ月でありますが、先ほど質問で申し上げたような状況に陥っていると。やっぱりこれはぜひとも、その状況を見てとか、国への要望を待ってとか、あるいはそういった手続を経てその後よくよく考えるというような、そういったスタンスではなくて、まずもって介護保険の場合、保険者は仙台市でありますし、そういった立場で、より緊迫感を持ってスケジュール管理をしっかりして取り組んでいただくということをまず冒頭求めます。
加えて質問に移りますけれども、今後、高齢者大国日本の主役となるのは一体誰であろうかと考えたときに、戦後のベビーブーム時代、昭和二十二年から二十四年に生まれ、戦後の経済成長を牽引してきた、いわゆる団塊の世代と称される団塊シニア世代の皆さんであると考えます。先日、国会において、有権者が十八歳以上を有権者とする法律は成立をいたしましたが、新たな有権者となる数は二百四十万人でありますが、一方で、団塊シニア世代は実に七百五十万人の巨大な年齢集団であります。その団塊シニア世代が高齢者の主役であることの存在感は、戦後日本の今日までの常に圧倒的な感があります。
そこで、この団塊シニア世代から見て抵抗感の大きい老人呼称についてであります。
そもそも老人の定義とは何でしょうか。何歳からを老人としているのか。年金、医療、介護保険、退職年齢など、老人の基準は事務手続的な意味合いによるものが大きくあります。かつて七十歳、古希とは、まさに古くまれなりの時代であったそうです。しかし、今や七十五歳にして、先日のハーフマラソンでも二時間以内で完走し、私も置いていかれるシニアランナーが珍しくない時代において、六十歳にして老人クラブの会員というのは、その響きは違和感があり、今どきなじみにくいものと率直に感じるところであります。
老人福祉センター、老人憩の家は、老人と老人クラブの活動場所としてありますが、老人という呼称は切りかえるべきときが今であると考えます。政令市では、横浜市や新潟市などで既に切りかえている事例も見られております。まだまだ現役と自信にあふれる団塊シニア世代の皆さんが、老人という呼称に抵抗感を覚えて活動領域を狭めてしまうとするならば、それは彼らが持っている豊かな経験と知見が地域社会に還元されないということであり、社会的な資源の損失であると考えられます。本市公共施設や団体名において老人称の見直しを求めるものですが、伺います。
また、もう一点は、高齢者の方々が利用する施設において、備品の更新についてであります。
個体差はあっても、年齢を重ねると身体能力的に立ち座りが困難になっています。従来から高齢者の皆さんは畳に座り座卓を囲むものとした利用形態も、今は昔です。利用者の一般的な声として、椅子とテーブルの利用を求める声は大きくなっています。老人憩の家や老人福祉センターなど高齢者が利用する施設などにおいて、椅子とテーブルの備品変更を希望する声を多く伺っています。
それらを全て市の予算に頼ることは難しいことは、利用者も理解をしているところです。そこで、新たな備品の調達については、例えば近隣の民間事業者などにスポンサー提供を求めるなどして椅子やテーブルなどの備品の更新を進める方法についてはどうであるか、二項目、伺います。
23: ◯健康福祉局長(佐々木洋)ただいまの二項目に関する御質問にお答えいたします。
まず、老人の呼称についてでございますが、本市ではこれまで、法令などに定めのない事業名につきましては、名称を老人から高齢者に変更してきた経緯がございます。一方、御指摘の老人福祉センターなど、関係法令に定める施設、事業につきましては、従来どおりの名称を使用しているという取り扱いとしております。
御指摘のように、老人という呼称に違和感や抵抗感を持たれる市民の方もおられますことから、他都市の事例も参考にしながら、どのような呼称がふさわしいか、検討してまいりたいと存じます。
また、施設整備に関してでございますが、利用者の方々からは、座卓から椅子やテーブルへの変更についての御要望をいただいておりますが、現在、施設の修繕、備品の更新については、優先度の高い箇所から行っているところでございます。これまでも民間の団体などから備品等の提供を受け、施設に配置した例もございますことから、そうした民間の力をおかりするなどの手法も取り入れながら、施設の整備を図ってまいりたいと存じます。
以上でございます。
24: ◯二十六番(安孫子雅浩)二点お答えいただきましたけれども、まず、前段の部分ですけれども、その呼称について検討するということですが、そんなに難しい問題なんですかね。これまた何とか協議会とか審議会にかけて、学識経験者の意見をもとにきわめていくような、そういった手続、段取りが必要な類いのものであるのかどうか。私は、そんなことはせずに、即座に決めていくというスタンスが必要であろうというふうに考えますが、そこについて再度お伺いをいたします。
もう一点についてでありますけれども、既にやはり地域によってはそういった施設の備品の更新について取り組んでいるところがありますが、それが個々の対応になっていては全体的に進まないのでありまして、その辺の旗振りなり音頭取りなり、あるいは情報の伝え方等も、仙台市としてある程度頑張るべきではないかというところを言っているわけでありまして、お答えください。
25: ◯健康福祉局長(佐々木洋)呼称の変更につきましては、前向きに速やかな変更ということを取り組んでまいりますが、例えば老人クラブ、これは全国的な組織もございますので、本市でどのような名称というものがよろしいか、これは関係団体とも協議して決めていきたいと、そのように考えます。
また、備品の配置につきましては、先ほど申し上げましたように、こちらのほうも前向きに捉えてございますが、手法も含め、それから、どのような箇所からということも含めまして、決めていきたいというふうに考えます。
26: ◯二十六番(安孫子雅浩)私、質問の中で、スポーツ施策、フットワークのよさという点を言いましたが、その対極に健康福祉局があってはいけないということは、指摘として申し上げておきます。
その呼称については、老人クラブというふうにうまくお答え逃げましたけれども、その老人クラブはわかります。法律的な部分が、法的な環境にあるということは。じゃあ例えば老人憩の家とか、あるいは老人福祉センター、この辺などはできることですから、そっちをまず見て、やれることはやるということで臨んでください。そのように申し上げます。
次の質問に移りますけれども、二項目めは、教育局のほうに対して、教育大綱云々についてお尋ねをしました。
申し上げますが、まず、歴史教育と国語教育、この二科目を充実させるということの上で、本市にあっては東北仙台の文化と歴史を習得する機会を十分に確保していく、本市の教育大綱にはそのことを改めて強く求めるものでありますが、お答えください。
27: ◯市長(奥山恵美子)教育大綱ということでございますので、大綱に関しましては私の所管となりますので、私よりお答えをさせていただきたいと思います。
経済や社会の
グローバル化が進展しております中、子供たちが世界で活躍する力を身につけることは極めて重要であり、そのためには、お話にありましたような子供たちが国語の力を基礎としてしっかり身につけるということは大変重要なことだと考えております。また、世界で活躍する場合に、日本そしてまたふるさと仙台、郷土に関する理解を深め、愛着や誇りを持って活動する人間となること、これも極めて重要なことだというふうに考えてございます。
これまで二回の総合教育会議を開催し、大綱の策定に向けた議論をただいま行っているその途上でございますけれども、会議の中におきましても、本市の学校におけるさらなる博物館などそうした社会教育施設において歴史を十分に、本市の歴史を学ぶことの重要性でありますとか、そうした教育資源を活用する中での体験的な学習の充実などについて、御意見も出たところでございます。
本市の将来の復興、そして発展を担います子供たちが、東北、仙台の文化や歴史をしっかりと身につけ、これを生かしながら国際社会の中で活躍できるということは大変重要なことでございますので、こうした視点も踏まえまして、引き続き教育委員会と大綱の策定に向けた協議を進めたいと、そのように私として考えているところでございます。
28: ◯二十六番(安孫子雅浩)教育長出身の仙台市長でありますので、今、御答弁いただいた件については、なるほどそうだと思えるような教育大綱の策定に期待をするところであります。
次、三項目めの点についてお伺いいたしますけれども、これは安心・安全なまちづくりに関してのことでありますが、先日の岡本議員の質問でも指摘されましたけれども、四月から交差点が寂しくなりました。交通安全指導員の姿が消えたからであります。その交差点に私は立って、交通安全声かけ活動を行っておりまして、同志の方も多いかと思いますけれども、交差点に立っておりますと、歩行者、自転車の視点で見えてくるものが少なくありません。それは、路面が波打っていること、亀裂箇所が多いこと、白線が消えかかっていること、停止線も消滅しかかっている状態がよく見てとれます。言うまでもなく交差点は接触事故の発生多発箇所であるだけに、子供と高齢者を交通事故から守るための交差点の維持管理、安全環境の確保が必要であると考えます。
交差点は道路の接続箇所でありますから、例えば国道との接続や交通規制の標示などは、仙台市ばかりの所管ではありません。市民の交通安全の確保について交差点は重要箇所でありますので、市内交差点の適切な維持補修を計画的に、そして宮城県等しかるべき部署ともしっかり連携をして進めていくことを求めて伺います。いかがでしょうか。
29: ◯建設局長(高橋新悦)交差点は道路を通行する歩行者や自転車と自動車交通がふくそうし、事故も多いことから、より適切な維持管理が重要であると認識しております。
これまで、交差点部のわだち掘れなどの損傷箇所につきましては、仙台市において修繕工事を行ってきており、消えかかっている横断歩道や停止線等の白線につきましては、宮城県公安委員会が対応してきたところでございます。
今後とも、道路の損傷状況を現地調査で確認し、緊急性などを考慮の上、適切に対応していくとともに、国、公安委員会と十分に連携を図りながら、市民生活の安全・安心を確保してまいります。
30: ◯二十六番(安孫子雅浩)毎朝、挨拶を交わしながら、颯爽と通過していく子供たちの姿を見ていますと、このいとおしい子供たちを我々大人が互いに手を組んで守っていかなければならないという強い思いを心に刻む毎朝であります。
次に、四項目め、防災都市仙台づくりについて一点お伺いをいたします。
今回の
国連防災世界会議の開催成功を踏まえて、市長は奥山市政が後世に評価される防災モデル都市づくりへ向けたキックオフ宣言を今議会に求めるものであります。
国連防災世界会議の総括については、ただいま関係者、各界にアンケート調査を行っており、その集約作業を行っている最中にあると聞いておりますけれども、まずもって、現段階においては本市みずからの今回の国際会議への評価というものはどういったものであるのか、伺うものです。
31: ◯市長(奥山恵美子)今回の
国連防災世界会議は、仙台、東北の震災の経験や教訓、そして復興の歩みを、これまで地道な活動を積み重ねてきました市民の皆様の思いとともに世界に発信し、じかに経験していただく、極めて貴重な機会となったと考えております。
また、仙台防災枠組の採択により、世界の防災の取り組みの歴史に仙台という名を記すこととなりましたほか、パブリック・フォーラムで示された市民の皆様のお力は、本市ならではの市民の総合力による防災というこの取り組みを象徴する結果となったと評価をしているところでございます。
今回の会議の成果や培いました国内外とのネットワーク、市民、事業者、研究機関など多様な皆様との連携は、今後、本市が防災、減災のモデル都市として国際社会において責任を果たしていく上で、貴重な資源になるものと受けとめております。今後は、これまでの仙台の杜の都という都市個性に加えまして、防災環境都市という新たな目指すべき都市像を加えながら、未来に向けたまちづくりにさらに邁進してまいりたいと考えております。
32: ◯二十六番(安孫子雅浩)質問としては、その防災モデル都市づくりへ向けたキックオフ宣言をということでありますが、ただいまの答弁は、そのキックオフ宣言であると、防災環境都市として、奥山市長がおっしゃったというふうに理解をしていいでしょうか。
33: ◯市長(奥山恵美子)そのような趣旨とお受けとめいただいて結構かと存じます。
34: ◯二十六番(安孫子雅浩)もう一点お伺いいたしますけれども、五項目めに関してのことであります。
仙台ハーフマラソン、四回目の大会として大変すばらしい大会になったと。その具体的な数字等も、先ほど局長から御答弁をいただきました。
今回は大きく変更した点がございました。それは、事前受け付けというものをなくしたんですね。これもランナーの方々等の要望を受けて私も御相談したところでありましたが、事前受け付けをなくしたという点については、今回はどういったふうに当局としては事業者としては感じていたのか、お伺いするということと、それから、インターネットによる申し込みだったんですけれども、これがかなり殺到しております。私自身も三台のパソコンに接続をして、時間待機をした上で、早速駆動させましたけれども、何とかつながったのは四十分後でありました。相当、数が集中したようで、ずっとアクセスをしながらも、結局二時間以上かかってあふれたと。先着漏れ、出た方々も多く私も聞いております。大変喜ばしいことに人気の大会となっていることの裏づけでありますけれども、この杜の都ハーフの来年の申し込みというのはどのようなふうに考えているのか。ランナー仲間も大変に注目をしているところでありますが、来年は五回目となる大会でもありますが、その申し込み方法についてお伺いします。
35: ◯市民局長(寺田清伸)お話しいただきましたように、ことしの大会より、参加者の負担軽減のために、これまで前日、前々日に行っていたゼッケンの交付を郵送に変更したことで、事前の受け付けは不要になりました。郵送によるトラブル等もなく、参加者の皆様からも高い評価をいただいたところでございます。
そして、ネットによる参加申し込みの受け付けにつきましては、募集開始から締め切りまでの期間が年々短くなる傾向にあったため、今回から先着制と抽せん制の併用に変更いたしました。先着順は、募集開始から二時間弱で受け付け予定件数に達して終了となったところですが、抽せんにつきましては、約一・六倍の倍率となったところでございました。
次回大会の受け付け方法につきましては、実行委員会で検討し決定することとなりますが、参加者からの意見が掲載される
ホームページなどでもおおむね好評を得ていることもありますので、現行の方式を基本に検討を行いたいと考えてございます。
以上でございます。
36: ◯二十六番(安孫子雅浩)来年、五回ということになりますと、陸連で言うところのコースの登録等も五年というのは一つの節目でありますし、先ほど、前段の質問においては、いずれ将来というふうなことでフルマラソンということのやりとりもさせていただきましたけれども、こういった今回のやりとり、種々の手続の変更とか申し込みのあり方、そういった点については、私は全てこれからの将来仙台フルマラソン大会につながっていくものと理解をして、答弁を受けとめております。
杜の都は清廉にして、市民力に裏打ちされた都市防災力は殊さらにすぐれ、市民は誰しも健康増進への意識は高く、生き生きと暮らし続けるまち仙台である。このような本市のまちづくりを復興の先に目指して、私も引き続き努力、精進していくことをお誓いを申し上げ、以上といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
37: ◯議長(西澤啓文)次に、鈴木広康君に発言を許します。
〔二十九番 鈴木広康登壇〕(拍手)
38: ◯二十九番(鈴木広康)公明党仙台市議団の鈴木広康です。一般質問を行います。
東日本大震災から四年三カ月が過ぎました。この間、被災者に寄り添いながら、震災復興に携わってきました。五回に及ぶプレハブ仮設住宅でのアンケート調査により、被災された皆さんの生活面での復興、心の復興、人間の復興を復興の時期ごとに捉え、本市及び宮城県、国へと提言、要望してきました。
本市の復興は、県内市町と比べれば進んでいます。しかし、県内市町では復興が順調な状況にはありません。本市は復興のトップランナーであるがゆえに、被災自治体への職員派遣等を行いながら、人的支援による復興支援を行っています。今後も人的支援を継続し、県内被災市町の復興を願うものです。
震災以降に本市が作成した避難所運営マニュアルに、在宅被災者名簿が加えられました。本市における在宅被災者の定義をどのように考えているのかお伺いします。
震災から四年を前にして、被災弱者という本が発刊されました。その本では、避難所に行ったが、避難所の収容人数があふれ、避難所に入れずやむなく自宅に戻った被災者、身内に障害者や要介護者を抱えた被災者を在宅避難者としています。
先日、現在でも在宅被災者が多数存在している石巻市に行き、石巻市から委託を受けボランティア活動を進めてきたチーム王冠のお茶っこバスを調査してきました。津波で被災した自宅で生活している在宅被災者の皆さんが、車内でお茶飲みしながらおしゃべりやカラオケを楽しむことができます。同じ立場の被災者同士が互いに気遣いながら、また、生活再建の新しい情報交換をしています。
このお茶っこバスに集う在宅被災者の皆さんは、災害救助法に基づく応急修理制度により最大五十二万円の利用が認められ、また、家屋の被害程度が大規模半壊以上の場合には、被災者生活再建支援制度により、修繕の場合は加算支援金として百万円、単身の場合は七十五万円の支給が受けることができた方々です。しかし、自宅を一通り修繕するには数百万円もの資金が必要になるため、年金暮らしの高齢者の皆さんは、支援金で自宅修繕したものの、震災から四年がたった今も、壊れたままの自宅で暮らしている状況でした。
本市は、現在、個別対応による被災者再建加速プログラムを進めていますが、本市における在宅被災者数はどのように把握されているのか、また、それらの方々への現在の住まい再建に向けた対応についてお伺いします。
在宅被災者の方々は、震災当初には食料や支援物資も行き届かない状況もありましたが、また、海外からの義援金をもとにした日本赤十字社による生活家電六点セットの配布も対象外とされ、津波で使用できなくなった家財道具も自分で買いそろえなければなりませんでした。
そのような状況の中で、震災から二週間後の二〇一一年三月二十五日、厚生労働省の社会・援護局総務課長通知が出され、地方自治体における災害救助法に基づく食料支援について、次のように注意を促しました。災害救助法に基づき、避難所において行われる炊き出しやその他による食料の給与については、避難所に収容された者に限らず、地域の物流やライフラインが確保されるまでは、住家に被害を受けて炊事のできない者も対象とされることに留意願いたいとの通知がありましたが、当時の厚労省の通知では支援の方策が不明確であり、市町村、避難所である現場では対応が大きく分かれました。本市におけるこのときの対応はどのようにされたのか伺います。
現在、本市の避難所運営マニュアルには、在宅被災者を掌握する名簿が整備されています。高齢化が進むことで災害発生時に避難所に来ることができない被災者も多数発生することも予想されます。その際の在宅被災者への対応をどのように考えているのかお伺いします。
先月二日に、市内において、一人ひとりが大事にされる新たな災害復興法の制定に向けたシンポジウムが行われました。現在の災害関連の法律は被災者の暮らしが大事にされていないため、新たな法整備の必要性を訴えていくシンポジウムとして開催されたもので、約百人の方々が参加されました。シンポジウムの中で、個人の暮らしに対する被災の度合いは、り災証明や住宅の所有形態でははかれない。住宅の壊れぐあいだけでなく、暮らしに与えた影響で判定し、一人一人の暮らしをきちんと守り、生活困窮者の程度に合った給付制度をつくるべきとの意見も出されました。
震災から四年三カ月がたった今だからこそ、見えてくることがたくさんあります。第三回
国連防災世界会議を開催した本市であるからこそ、なおさら被災者一人一人の視点に立った制度化に向けた提案をしていくべきと思いますが、市長の御所見をお伺いします。
次に、本市の河川事業について数点伺います。
本市における河川事業では、一級河川、二級河川において整備する都市基盤河川改修事業と、一級河川、二級河川以外の河川において整備する準用河川改修事業が行われていますが、現在までの進捗状況はどのようになっているのかお伺いします。
近年、ゲリラ豪雨等で短時間に河川に流れ込む雨量が増大し、周辺住民が避難するなどの状況も、全国的にふえています。河川改修事業は、本市においても待ったなしであります。市内にある準用河川は十五河川ありますが、現在は青葉区の堀切川と太白区の谷地堀で改修事業を進めています。
東日本大震災等の影響もあり事業進捗がおくれていることは理解するものの、堀切川については事業開始から二十五年以上が経過し、谷地堀については十五年以上が経過しています。
特に谷地堀改修事業は、総合流域防災事業として平成十一年度に着手し、現在までの事業進捗率は三・一%足らずであります。これまでも谷地堀改修事業促進協議会により、早期整備に向けた陳情も出されています。これまで用地買収に難航したものの、用地買収に協力した地権者の皆さんも、自分が元気なうちに改修事業が完了することを望んでおります。事業完了年度は平成三十三年度となっていますが、現在までの事業進捗率三・一%を加速的に挽回し、総合流域防災事業としての谷地堀改修事業をどのように進めていくのか、お伺いします。
また、この地域は、平成六年九月二十二日の集中豪雨により、床下、床上浸水の被害も発生しています。事業完了までの期間に、今後も集中豪雨による被害が発生することも予想されますが、集中豪雨等に対する対応はどのようにされるのか、お伺いします。
次に、本市公共交通事業について伺います。
本市では、平成二十三年二月に地域公共交通会議を設置しました。地域における住民の生活に必要なバス等の旅客運送の確保、その他旅客の利便の増進を図り、地域の実情に即した輸送サービスの実現に必要となる事項を審議するための会議で、具体的にはコミュニティバスや乗り合いタクシーなど、地域の実情に応じた乗り合い旅客運送の態様及び運賃、料金等に関する事項などを審議するとしていますが、この会議によるこれまでの成果、また主な議論はどのようになっているのか、お伺いします。
本市は、ことし十二月の
地下鉄東西線の開業を踏まえ、昨年度、バス路線を大きく見直しました。これは
地下鉄東西線利用促進も狙ってのことでありますが、市内には地域公共交通の手段としてバスや鉄道といった方々もおります。過日、仙台市、バス運営見直しという報道がありましたが、行政がかかわっていかなければ、地域交通の確保はますます難しくなっていくと考えます。
例えば、これまで本市で実施してきた坪沼乗合タクシーも、昨年度、事業計画が変更されました。その理由は、少子高齢化等による通学利用の減少、過疎化の進展による一般利用者の減少による運賃収入の減少が続いているということです。これまで運行してきた運行事業者も経営判断により契約辞退ということになり、新しい運行事業者になりました。乗り合いタクシーやコミュニティバス等の運行に対する本市からの財源補填も必要であると考えますが、当局の御所見をお伺いいたします。
最後に、昨年の第二回定例会において質問した乳幼児突然死症候群についてであります。
昨年の質疑において、私は、具体の提案として、乳幼児突然死症候群防止グッズの貸し出しを行ってはいかがとの提案をしました。その際の答弁は、こうした機器の貸し出し事業につきましては、先行事例について、他自治体の実施状況などを確認しながら研究してまいりたいとの答弁でありました。その後の検討により、乳幼児突然死症候群についてどのように対応しているのかお伺いし、私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
39: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの鈴木広康議員の御質問にお答えを申し上げます。
一人一人の視点に立った被災者支援制度についての御質問にお答えをいたします。
現行の被災者生活再建支援法に基づく制度におきましては、住居の被災状況により給付を行っておりますが、他の支援制度におきましては、住居の被災状況のみならず、生計維持者の状況、世帯の収入の変動等、さまざまな要素を勘案して給付や貸し付けなどを行っているところでございます。新たな支援制度の提案につきましては、その要件の設定、制度の運用面など、検討すべき課題があるものと考えております。
一方で、本市といたしましては、
東日本大震災の経験をもとに今後の巨大地震に備えての災害対応体制を強化していくという観点から、り災証明に係る認定基準の見直しを行うことや、各種支援制度における、り災証明との関連づけのあり方を早急に整理することなどを国に要望をいたしております。
現在、本市では復興公営住宅への入居も本格化いたしておりますが、いまだ生活再建の方針が見出せない方々には、それぞれの実情に即した支援が求められているところでございます。被災された方々が一刻も早く健やかで安心な暮らしを取り戻せますよう、お一人お一人の御事情を丁寧にお伺いをし、被害の実態と御支援の内容とのミスマッチができる限り生じないよう、被災された方々に寄り添った生活再建の支援に取り組んでまいります。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
40: ◯危機管理監(寺内譲)在宅被災者の方々への支援に関する二点の御質問にお答え申し上げます。
初めに、
東日本大震災時における在宅被災者への食品の給与についてでございます。
震災当初は、物資に限りがある中で、各避難所におきましては、求めに応じてお渡ししているところとお渡しできなかったところがあるなど、対応がさまざまでございました。食品等の支援物資の供給が安定してからは、食料を求めて来られた方には、多くの避難所において在宅被災者の方へもお渡ししていたところでございますが、在宅被災者の御自宅までお伺いして食料を届けるような対応は、一部の在宅被災者の方へ民生児童委員が訪問し配付した事例はありましたが、基本的にはなかったものと認識しております。
最後に、避難所運営マニュアルにおけます在宅被災者の対応についてでございます。
震災後に見直しされた地域防災計画や避難所運営マニュアルにおいては、避難所に来ることのできる在宅被災者の方につきましては、避難所において可能な範囲で食料や物資等を配布することとしてございます。
避難所に来ることのできない御高齢の方を初めとする在宅の災害時要援護者の方につきましては、定期的な安否確認や災害情報の提供を行うとともに、食料や生活物資等の購入できない状況が長期化する場合などにおきましては、地域団体などの協力を得ながら、巡回なども含めた食料物資等の配布を行うこととしてございます。
以上でございます。
41: ◯復興事業局長(鈴木三津也)私からは、在宅被災者の方々の対応等につきまして、数点のお尋ねにお答えいたします。
まず、避難所運営マニュアルにおきましては、避難所に避難することができない災害時要援護者や、ライフラインの被害により食料配給などの支援を必要とする方を在宅被災者と定義した上で、避難所で名簿を作成するなどしながら、必要な支援を行うものとしてございます。
次に、発災から四年余りを経過した本市の現状に照らしますと、ただいま申し上げた、いわゆる定義によります在宅被災者は、既に解消しているものと存じます。御指摘のような被災した住宅に最小限の補修を行い現在も引き続き住まわれている方は、被害状況の軽微な方を中心に、一定程度おられるものと認識してございます。
最後に、被災住宅の建てかえなど、このような方々から改めて住まいの再建に関する御相談をいただいた場合には、利用可能な各種制度の紹介など、仮設住宅にお住まいの方と同様に必要な支援を行っているところでございますが、今後とも個別の状況や御事情に応じた丁寧な支援により、多くの方の生活再建の後押しを進めてまいりたいと存じます。